表紙も狂ゥ!!

「魔太郎がくる!!」の目眩く傑作表紙を一冊ずつ紹介

原典「秋田チャンピオンコミックス」より

 

 

↑記念すべき最初の単行本である本書だが、秋田チャンピオンコミックスのお約束である不気味な巻末紹介でもこの絵柄はインパクトが抜群であった。後期にも多く観られる特徴である現実世界と魔太郎のタッチを変えることで、現実世界の虚像さを浮き彫りにしている。ような気がする。秋田特有のジャンル分けである「●怪奇コミックス●」もキチンと途中で変わることはない。勿論「●ヒューマン・コミックス●」に変わったりもしない。

↑バックで怨みオーラを放っている魔太郎魔族モードも雰囲気出ているが、何と言っても前面に配された「照れ笑い魔太郎」と、その原因と思われる「かわいこちゃん」との対比が素晴らしい。魔太郎最大の特徴である「上目遣い」が、ノーマル・モードでも顕在で、なおかつメガネ内のみ色抜きされているのもポイント高し。
ちなみにこの表紙での怨みモード魔太郎は「爪長バージョン」ちょっとしゃれモノだ。

↑完全に無視しているクラスメート達が、ペンタッチも含めてかなりの高ポイントを稼ぎ出す傑作。
画面前面で懸命におどろおどろしいポーズを取っている魔太郎だが、目線が微妙に後方を意識している様が見て取れて、読者としては心が痛む逸品だ。
A先生の特長の一つである、斜め構図もいい具合に決まっていて○。

↑一部で大問題になり物議を起こした問題作がコレ。(とは言ってもホンのごく一部でだが)
遂に衆目の的となって上機嫌ととれる魔太郎だが、背景の色具合と前面にいる魔太郎との違いが露骨すぎるのと、魔太郎の得意そうな表情と対比されるかのように冷笑気味のクラスメート達の表情が絶妙のアンバランス。これがいわゆる「気の毒な人でも観ているような」と称された極上品である。
ちなみに、言うまでもないがポイントはこいつ。

↑問題作中の問題作である前巻と較べると酷というモノだが、この表紙も味があるという点では見逃せないポイント多し。
クラスメートはコリゴリとばかりに、数少ない友達(?)である切人ちゃんをバックに配して、ますます一人天国で悦に入る魔太郎がうら寂しい。
ただ、どう考えもポイントは欺瞞度満点の「切人ちゃん」の嘘臭い笑顔だ。

「うそつけ」

としか言いようのない顔つきだ。背景の付きも含めて素晴らしいまでの嘘臭さだ。

↑遂に誰一人理解して貰える人を見いだせなかった魔太郎は、遂にここにきて、自分自身に助けを求める。
いわゆるドッペルゲンガーとでも言うべきコレ。もう一つの顔である怨みモード魔太郎から逃れようとする寝間着魔太郎の哀しみが良く出ている好表紙だ。

ただ、あまりにも顔の大きさと手の大きさが合っていない。

これもA先生の特徴と言えば特徴だが。

↑この表紙の素晴らしさをどう表現すればいいのか言葉に窮するが、何と言っても前回に引き続き自分との世界に閉じこもる魔太郎だが、ここでの学生魔太郎のポツンぶりはどうだろう?

ちょうど背景の枯れ木の処理が、魔太郎の後頭部との偶然の同期を含めて、かなりレベルの高いムードを醸し出している。

もう「魔太郎」の「どうしたらいいんだ?」感が切ににじみ出る絶品と言える。

↑自分すら頼りにならなくなったと判断した怨み魔太郎が選んだ選択肢はなんと「棺桶」

しかも自分が笑顔で入っているという、完全無比の一人節。

しゃれこうべだけがそんな魔太郎を暖かく見守っている。

どうでもいいけど、全巻通じて魔太郎がこびりついたような怨み笑みを浮かべているのは、観ている方にまで奇妙な緊張感を産み出すのはさすがだ。

↑これではイカンと判断したのか、背景に日常風景としてのペンタッチでクラスメートが復活。

ただし、魔太郎はフィルムという、これまた虚像の代表のような代物に自らを閉じこめての自閉ブリ。

なのに、その中では二分割で変身過程も披露。
どうでもいいけど、色使いが秋田チャンピオンコミックスをキチンと意識した青と赤なのが素晴らしい。

↑そして遂に登場した、ド迫力のコレ。

遂に悟りに近いモノを感じさせる圧巻の顔つき。

怨み笑みも今までのモノとは明らかに一線を画する強烈なふてぶてしさ

怨み表紙ココに極まれりというか、何もココまで…と観るモノに作者への不安感まで強める極めつけの極上作。

↑クラスメートとの生温い迎合をよしとしない魔太郎がナルシズムに走った一品。

月夜をバックに不敵に四人も並ぶ色違い魔太郎はキレイにまとまっていて良い。

ちなみにこの巻は筆者が幼少の頃ただ一冊だけ愛読していた魔太郎だが、全然この表紙の印象はない。それもそのはず、秋田チャンピオンコミックスは表紙を外せば、そこにはコレ又意味不明に不気味な色使いの素っ気ないタイトルロゴだけなのだから。

ズバリ、怪奇コミックスの面目躍如。

↑切人ちゃん再登場だが、今回は味ありすぎの「怪奇や」主人までバックに従えて、小山の大将気取り爆発の魔太郎がいい感じ。突きだした手のひらの大きさが全然違ってる点も合わせて、イカしたポージング。

怪奇やの主人は、恐らく作者もめんどくさくなっていると思われるが、あれはマスクをかぶってるので、本当の顔は明らかにされない。

知りたくもないが。

おまけ

 

↑いよいよ最後の巻になるコレだが、キチンと不気味な13と言う数字の巻で終わらせている点も評価高い。

遂に自分を見いだした魔太郎の安堵に似た安らぎの表情が、ここまでの恨み顔と実に対照的なのは、実に末尾に相応しい。

ただ、その表情に驚く現実の魔太郎に一抹の寂しさが残る。物語もそれを証明するかのように、魔太郎が去りゆくのみ。

↑言わずもがなの傑作中表紙。

秋田新書サイズ新装版にもこの中表紙は顕在。後世に残すべき財産だ。

 

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